介護業界は定着率があまり良くありません。
「離職率」を調べてみると、介護労働安定センターの平成30年調査では15,4%でした。
全産業の離職率は14,6%です。
この数字から見ると他産業と比べても、離職率はさほど高くないように感じます。
実際、処遇改善加算等が開始されてから、離職率は下がってきているのが事実です。
しかし、処遇改善加算自体は介護職員の処遇があまりに悪く、介護職の離職率が高かったため、定着を図るという意味で設けられたという経緯があります。
介護業界の離職率について、調査結果を遡ってみると、以前は他産業と比較して高いことがよく分かります。
管理者側からすると、一所懸命に事業所や部下のために環境を整えることに身を削っても、退職者が相次ぐ、といった状況です。
退職者が相次ぐと、管理者と言えども心が折れます。
メンタルを病むこともあります。
ネットで「介護職 退職」と検索すれば、退職する側のテクニックは山ほどヒットします。
しかし、退職届を受け取る側のメンタルについてはほとんどヒットしません。
管理者や施設長、上司と呼ばれる人は、とかく悪者扱いされることが多々あります。
しかし、上司だって首の皮一枚でなんとか頑張っているのが実情だと、私は思っています。
部下のためを思い、法人や会社のためを思い、粉骨砕身しても認められることが少なく、逆に「管理者が悪い」「施設長が悪い」「全部上司のせい」と言われることがほとんどです。
それにつけこんで「明日から来ません」などといきなり退職届を出されると、管理者でもメンタル崩壊します。
「俺の方が(私の方が)辞めたいよ」と思うのが実際です。
今回は、そんな管理者、特に若き管理者に「退職届を出されても心折れない3つの方法」について書いてみました。
Contents
割り切るのが一番
結論から言うと、「割り切ること」が一番です。
いつか必ず人は辞めていきます。
それは定年であったり、家庭の都合であったり。円満でも円満でなくても辞めていくのです。
だから、辞めていく人は、「その時に辞めていく人なのだ」と割り切ることです。
割り切ることで、次をどうしていくかの心構えができます。
円満でなく辞めていく人に対しても、できるだけ、円満に近づけるような、上司としての態度をとっていきましょう。
感情的になることもあるかもしれません。しかし、それは胸の内に納めておきましょう。
粛々と、そして出来れば、温かく送り出してあげましょう。
「辞めていくのは残念だけど、あなたはここで頑張ったのだからどこででも通じるよ」という言葉掛けができれば最高です。
話は聴いておくこと
退職届を持ってきた時、話はきちんと聴いておきましょう。
「家庭の都合」と言いつつ、本音は違う理由であることは普通にあります。
ですので、退職届を持ってくるに至った理由をよく聴いておきましょう。
大体は、人間関係であったり、給与に不満であったり、適所ではない人事だったり、という理由が大いにあります。
「聴いてもらった」ということが大事です。
ここで退職が覆ることもあったりします。
単に「言いたいことが言えなかった」とか「改善点を言いたかった」という理由で退職届を出す人もいるので、”話を聴く”ということを怠ってはいけません。
一旦は慰留する
割り切ることが一番、と書きましたが、一旦は慰留することも大事です。
私の経験では、退職届を提出して「とめてもらえなかった」とヘソを曲げた職員もいました。幼稚な言動といってしまえばそれまでですが、一旦慰留に努めると態度も少しは変わります。
とげとげした感情が少し和らいでくるので、受け取る側のストレスも軽減できます。
みんな、「自己効力感」とか「自己肯定感」が欲しいのです。認めて欲しいのです。
問題があった職員でも、頑張ったことを認めることで、辞めていく際には逆恨みの感情も減ります。
若き管理者へ
退職届を受け取ることは、本当に強いストレスになります。
そもそも慢性的な人手不足なのに、入職したと思ったらすぐに辞めていく。
管理者が一人で何役もこなしていかなければならない。本当に辛い状況になります。
強いストレスにさらされることが続くと、精神的なダメージを負う可能性が高くなります。
心身を壊すと仕事どころではなくなります。
あまりにそういった状況が続くようであれば、上長や法人本部に人員体制や求人方法について相談しましょう。
それでもなお、あなた一人の責任にされるようであれば、その職場とは縁を切りましょう。
あなただって、退職する権利はあるのです。
そして、管理者まで務めたあなたには、もっと良い環境で働くことができる職場がたくさんあります。
我慢しすぎなくて良いのです。